クチナシ(アカネ科)
クチナシは、常緑の低木で、比較的暖かい地方の山地に自生するが、香りのよい白い花が美しく、庭園樹としてもよく見かける。
庭園樹のものは八重咲のものが多いが、これはほとんど実をつけないので、薬用にはならない。
花が終わった後に実をつけ、晩秋に鮮やかな橙赤色に熟す。この果実は熟しても口を開かないことから、口無し(くちなし)と名付けられた。
漢方では、この熟した果実を山梔子(サンシシ)といい、消炎・止血・鎮静の働きがあり、黄疸の治療にも用いられる。
黄疸に用いる茵蔯蒿湯、各種の炎症に用いる黄連解毒湯、炎症を起こしやすい体質に用いる荊芥連翹湯、アトピー性皮膚炎によく用いられる温清飲など多くの処方に応用されている。